昨夜の呑み会で話題に挙がった本

忘れないうちにメモしておきます

ディジタル信号処理による通信システム

表題の通りの本。ポイントは「ディジタル信号処理」と「通信システム」が乖離していないところです。アルゴリズム論に終始することなく、ある問題を解決するときにどんなアルゴリズムが使われているか、そのアルゴリズムの原理はどうかを掘り下げています。
たとえば、フィルタ設計に関しては窓関数法とRemetz交換法の比較があったり、FIRフィルタの実装についてはDSPマイコンFPGA、ハードウェアによる実装の紹介があります。
他方で、正弦波を生成する方法としてテーブル参照と補間を組み合わせる方法やディジタル発振器、CORDIC法などが紹介されています。こういった方法が単なる紹介ではなく、アルゴリズムの解説まで踏み込んで得失が論じられている点は読む側にとってありがたい話です。
また、そういった要素技術を使って変復調器やミキサを実装する場合の解説などがある点もこの本の特徴と言えます。

数値計算入門

こちらはもっと数値計算に話を絞った本です。基本的な数値計算法について実装や性能評価まで論じています。内容としてはx86にターゲットを絞り、浮動小数点数の解説から基本演算の実装、超越関数の実装などに話しが及んでいます。

アナログフィルタの設計

4半世紀前の本ですね。学生時代、日経エレクトロニクスの書評で読み、企業インターンのために初めて上京した際秋葉原で購入した本です。大学で見せびらかしたところ学科の友人の間でちょっとした話題になり、結局生協で数人が共同購入していました。
内容としてはアクティブフィルタに的を絞りつつ、ボード線図の解説から始まって、バターワース、ベッセル、チェビシェフ・フィルタの設計などの解説が行われています。
当時のフィルタ設計本は数表が主体でした。すなわち、フィルタの型、次数、リップル、回路形式を決めて適切な表を引くと、カットオフ周波数1Hzのフィルタ部品定数が与えられ、それをスケーリングしていたのです。
一方でこの本はフィルタ設計の基礎を理論で説明しており、一歩踏み込んで知りたい人には宝物と言える本でした。最初に訳を出版した会社は程なく倒産してしまいましたが、事業を買い取った会社が再度販売していたのを覚えています。

アナログフィルタの設計

アナログフィルタの設計