AR.Drone

最近あちこちで名前を聞くAR.Droneのデモを見てきました。私が見たのはネットを張った飛行空域での自動デモフライト*1と、屋外の飛行空域(バスケットコートの1/4くらい)でのオープンフライトでした。
AR Droneは四軸のローターを持ったヘリコプターで、操縦はWifi越しに行います。
開発社のParrotいわくAR Droneは「世界初の実際に飛ぶビデオゲーム」です。ユーザーはiPodの画面上でAR Droneが搭載しているフロントカメラからのストリーミング映像をリアルタイムで見、写った敵機を射撃することができます。こうして2機のAR Droneに空中戦をさせることができます。後ろからのぞいたところろ、画面上に"Win"の文字が躍っていました。Hit判定もしているようです。
音は意外に静かです。飛行中にぴたりと静止が決まること、姿勢制御がかちっかちっとしているところから、位置や姿勢に関してはかなり高度な自律制御をおこなっているように思えました。底面ビデオカメラで位置制御をおこなっているのかもしれません。逆にそうでないとしたらいったいどんなことをしているのか興味深いです。加速度センサーは傾きと加速を区別できないため、光学的な方法で速度や水平を検出しないと、AR.Droneのような飛翔体を安定させることはできないのではないかと思っています。
ヘリコプターの場合、ローターによる懸垂中心が重心より上にありますから事前に慎重なトリムを行えばニュートラル状態で静止させることができます。しかしこの方法は安定性が強すぎて機敏な動きができません。
AR.Droneの四軸ローターは機敏な動きが可能ですが、安定性が悪いため自律的な飛行制御システムが必要なはずです。多分やっているのでしょう。実用機ではF-16が飛行制御の完全自律を成し遂げた初の機体*2ですが、今は模型でもここまでやるんですねぇ。
開発元のParrotは、APIを公開してユーザーにアプリケーションを作る用奨めています。光学ビーコンでAR.Droneを誘導し、上空からの画像を使って迷路を解くマイクロマウスなんてアプリケーションも面白いかもしれません。カンニングなんて棒の先にカメラを付ければすぐできるわけですが、空陸共同の有機的なアプリケーションというのは挑戦し甲斐がありそうです。

*1:2機が音楽に合わせてダンスを踊る

*2:1975年初飛行。安定性が負の機体なので、コンピュータが停止すると飛べない。制御システムは16bit CPU、主記憶32kBくらいのミニコンだったはず