0.5mm


「俺も若い頃は」というのは、飲み屋でよく聞くイケテナイオヤジの台詞ですが、私も若い頃は0.4mmピッチのLQFPに眼鏡いっちょではんだ付けを敢行したものです。無謀でしたね。
その後正立双眼顕微鏡のある職場に移ってからはQFPのはんだ付けも顕微鏡下で楽な作業になりました。さすがに0.4mmピッチのLQFPは主流にならず、0.5mmピッチばかりでしたが顕微鏡は必須です。半導体のサポートなんて仕事をしていると、時折デバイスの付け直しなんて仕事が舞い込んできます。品質保証部ほど深刻な話ではないのが救いでした。BGAがこれほど普及する前はどこの職場でもやっていたのではないかと思います。
そんなある日、40歳を目前にして私は気づいたわけです。「最近のICは印字が薄いなぁ」そうして天井の蛍光灯に反射させて読みながら、さらに気がついたのでした。違う、これが年を取るということなのだと。
加齢というのは残酷なモノで、技術者としてちょうど脂がのった時期にじわじわと首を絞め始めます。普段若い人にあれこれうるさいことを言いつつ、「ごめん、このIC何て書いてる?」と聞く姿の滑稽な事よ。0.5mmの足もとっくの昔に視界の中では融けています。最近気づいたのですが、自宅の天井につり下げたライトの下でははんだ付けができなくなりました。反射がきつくてユニバーサル基板のランドとベークの区別がつかないのです。緑のユニバーサル基板出してくれませんかね、サンハヤト
そんなこんなで、我が家には正立双眼顕微鏡が一台あります。オリンパス製の正真正銘研究用です。なぜか顕微鏡が大量にオークションに出回っていた頃で、信じられないほど安く買うことができました。あるいはどこかのメーカーが大きな研究所をたたんだ時期だったのかもしれません。