人脈は大事


別のところにも書きましたが映画、「2001年宇宙の旅」においてコンピュータHAL9000が歌う歌は、史上初めてコンピュータが歌った歌であり、話によれば共同脚本作者のクラークがベル研究所を訪れたときに友人から聞いた話が元になっているそうです。
クラークがベル研究所を訪れたか否かについては、私は本人の著作で確認したわけでないですから自信が持てません。しかし、そうであっても不思議ではないバックグラウンドがクラークにはあります。
第二次大戦前、人類は宇宙に進出できると信じていたイギリスの科学好きな市民の一部が、「惑星間協会」を結成します。仕事の後の会合で、この人々は宇宙旅行に必要な技術、考えられる問題などを論じました。やがて専門分野の人材まで流入した結果、この集まりはきわめて知的レベルの高いサロンとなります。
第二次大戦はこの種の会合に暗い影を落としますが、クラークはその後彼が始めた科学解説の仕事に、この惑星環境会での人脈を存分に活用したようです。第一線の人材となって世界に散った友人たちは、クラークに多くの刺激を与え続けたことでしょう。
自分の専門分野、専門外の分野の人々と拘留することは、技術者にとって非常に重要なことです。一人でカバーできる範囲は常に狭く、特定分野を深く掘り下げたければ、必然的に他の分野に回せる時間は減ります。もし、新しい知識を耳に入れてくれる友人がいれば、それは千金に値します。
CESで見たAR.Droneのデモは衝撃的でしたが、あきらかに異分野の人材が集まって作ったと思わせる特徴がいくつもありました。仕事でも趣味でも、技術者は交流を広く保つべきだなぁと、やや遅くはありますが認識を新たにしているところです。